群馬県吾妻郡、川原湯「上湯原の道祖神」

JR吾妻線、川原湯温泉駅で配布している「やんば散策マップ」の「川原湯コース」に沿って探す。吾妻川は利根川の上流に位置し、川原湯温泉駅付近は首都圏への用水供給と洪水調整のため、平成22年に完成予定の八ツ場(やんば)ダムの底に沈む。↓写真中央、川向こうの山の中腹、吾妻渓谷の崖に沿って建ち並ぶ川原湯温泉郷。

abe4.jpg

その川原湯温泉郷から駅へ向かう道とは反対方向に道を下っていく坂の途中に、地元の人たちに愛され、川原湯温泉散策の目玉のひとつでもある道祖神がある。

ave1.jpg

abe2.jpg
「上湯原の道祖神」宝暦6年(1756年)のもの。地元では「アベック地蔵」「仲良し地蔵」などとも呼ばれているらしい。よく見かけるお互いの肩を抱き合う形ではなく、男性が一方的に女性に抱きつき、女性が恥らっている感じの本当に仲の良さそうな双体道祖神。昨年の同じ時期に温泉目当てでここへやってきて、たまたま散策していて見つけたその姿と、背後に広がる秘境の森との組み合わせにになんともいえない神秘的なものを感じ、それ以来、旅行先では道祖神が居ないか気にするようになったのだ。それまでは本当に道祖神なんて意識したことも無かった。

ave3.jpg
250年もの間ずっとここで仲良くしていた神様も、あと数年後には水の底。なんらかの形で移設して残されるとは思うけど、「ここに居る意味」が失われてしまうのは少し寂しい。道祖神は村境や街道の岐れ道にあって、旅の安全や村の魔除けの神様としての意味があったのだそうだ。